6年生になったうちの兄さん(息子)が、この春はすこぶる張り切っていました。
彼の通う小学校では、様々な事情で集団登校がありません。そこで、彼は自主的に顔見知りの近所の1年生を迎えに行って、手をつないで一緒に登校していたそうです。そうこうしていると、一人で登校している名前も知らない1年生もなぜか一緒に歩くことになって「遅刻しそうになったわ」と笑いながら話してくれました。
6年生にもなると、「手をつなぐ」ということ自体が気恥ずかしいこともあるだろうな、と思うのですが、幼稚園の登園や降園の際に毎日のように誰かと手をつないで歩いていた彼にとっては、年下の子をおもんばかることや、手をつなぐことは自然なことなのか、ということを今更ながら納得した新学年の始まりでした。
そんな彼ですが、幼稚園の頃はちょっかいを出してお友だちの心を傷つけたことがありました。「うちの子は人の気持ちがわからんのやろうか・・・」と悩んだ日のことを今でも覚えています。すぐに先生方が相手のお子さんの心配を取り除くだけではなく、真剣に息子と向き合ってくださり、園全体で息子を見守ってくださったことで状況が好転しました。園長先生がこの経験を経た彼について、「彼は人の痛みを感じて行動できる人です」というようなことを仰ってくださったことを今も拠り所にしています。
それでも、「大丈夫かな」とハラハラすることは日常茶飯事で、紆余曲折ありましたが、6年生になって、1年生と手をつなぐ彼を想像すると、幼稚園で過ごした日々が、今の彼の礎になっているんだなぁ、と感じます。そして、母親である私自身も、この幼稚園に通う子どもを通じて、人としてどうありたいか、を日々考えるようになったように思います。ゆっくりながらも、自分も成長できるとは思っていなかったことなので、そのこともとてもうれしいし、今を生きる励みになっています。