かつて「山びこ通信」に書いたエッセイを読み返しました。

>>大人の言葉、子どもの心 ――思い出を力に変えて

久しぶりに読み返し、一つの思い出がよみがえりました。

幼稚園年長のK君が一人皆のところから離れて寂しそうにしゃがんでいます。場所はプレイルーム前。

妹さんが生まれたことが理由のように直感しました。

隣に座っていっしょに遠くの愛宕山を眺めたりして時間を過ごしました。彼から私に色々な話をしてくれたのが幸いでした。

その日はお誕生会がありました。当時は会の最後に子ども向けの短い映画を上映するのが常でした。

いつもはピングーや日本昔話を上映しておりましたが、その日は「よし」と思って、ディズニーの抱腹絶倒の映画を上映しました。

じつはこのときのことを私はすっかり忘れておりました。その後、3年たったころ、お母さまから山の学校のイベントの申し込みをいただいたさい、K君にとってこのときのエピソードが貴重な思い出になっている趣旨のことを教えていただきました。

4月から幼稚園に通い始めた妹に向かって、「幼稚園はなあ、お兄ちゃんにとって宝物やねん。」と嬉しそうに話したそうです。その後、家族でK君の幼稚園時代の話で盛り上がった際、上のエピソードをご本人が自らの口で紹介し、「あの時、とてもスッキリした気分になったし、園長先生はいい人だなあ。と思ったそうです。」と語ったとのこと笑。

「その後、ミッキーの時計の映画を見て笑えたことも覚えておりました。(園長先生が、急遽、映画を変更してくださった)」と書かれていました。

私はこのフレーズにも驚きました。この保護者にも子どもたちにも、私は一言も「映画の変更」は告げていませんので、これはご本人が私の意図を「察した」結果と言えるでしょう。

いろいろと感慨深いものがあります。

いまごろK君はどうしているかな。きっと「思い出を力に変えて」いろいろなことに挑戦していることでしょう。

今年も目の前の子どもたちといっしょに大切な思い出の種まきをしていきたいと思っています。

関連記事: