瓜生文庫について
このたび『この道50年』と『山下一郎 遺稿集』の出版にあたり、それぞれの裏表紙をご覧いただくと、回転する独楽の模様が印字されています。
これは山下英吉先生(初代北白川幼稚園園長)が、『唯物問答』(昭和33年)など自著を世に問うべく設立した「瓜生文庫」(北白川幼稚園の出版部)のロゴとして使われたものです。一郎先生の『保父』(昭和34年)もこの瓜生文庫から出版されました。
このロゴが象徴するとおり、独楽は勢いよく回るほど静止して見えるものです。一方、力を失うと独楽はふらふらと揺れて見えます。人間の生き方も同様で、一所懸命という言葉が示唆するように、幼児であれ大人であれ、人が一つの物事に熱意をこめ無心で取り組むとき、勢いをもった独楽のように凛として輝いて見えるのではないでしょうか。少年時代の私に祖父(山下英吉)がそのような解釈を語ってくれた記憶があります。
『この道50年』と『山下一郎 遺稿集』は、平成の世に於ける瓜生文庫再生の第一歩であります。これを機に、本園は幼児教育のみならず、広く人間教育全般に関わる出版事業を地道に展開して参りたいと存じます。