二千年前のローマ人の言葉を読むと、いろいろ面白い発見があります。

ある詩人は、青い空を見上げる価値を真面目に論じています。

現代人は今の目の前の景色に慣れ過ぎている。もし生まれて初めてこの青い大空を見たり、夜の星々を目にしたら、その感激は計り知れないはずだ、この世界を神が創ったとどうして信じないでいられようか、と。

日本人同様、八百万の神を信じたのがギリシャ・ローマの世界です。

太陽も、月も、大地も、自然界のあれもこれも、男神であったり、女神であったりします。

抽象的な概念も神や女神とむずびつけられました。

オリンピックのメダルにニケ(勝利の女神)が刻まれています。

ギリシャの女神ニケのつづりはNikeで、有名なスポーツメーカーのブランド名になっています。

ラテン語の名前はVictoriaで、女王の名前になっています。英語のvictoryの語源です。

努力して練習を重ねて勝負に勝つためには、勝利の女神に愛されないといけないという考えがありました。

それには勇気が必要というのがギリシャ人、ローマ人の基本的な考えでした。

「勝利の女神は勇気ある者を愛す」という格言が今も残っています。

勝利は自分の努力の結果である、神も女神も関係ない、というのは当時の人たちの目から見ると大変思いあがった考え方になります。

ギリシャ・ローマ神話において、傲慢な人間には神による罰がくだされます。たとえば、自分の機織りの技術を自慢したアラクネは蜘蛛に姿を変えられたりします。

古代ギリシャ・ローマの人々の考え方に接すると、日本人が昔から大事にしてきた自然観や人生観との共通性を見出すこともでき、興味深く思います。

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