「情けは人のためならず」ということわざがあります。
しばしば、「人に親切にしても相手のためにならない」という意味に誤解されがちですが、本来は逆で、「人に親切にすることは、巡り巡って自分に返ってくる」という教えです。
もちろん「自分への利益を期待して親切にせよ」ということではありません。
しかし、弱肉強食の世界にあって、一見役に立たないように見える親切ややさしさこそ、長い目で見れば自分の人生に豊かさをもたらす、という知恵が込められています。
日本昔話に登場する正直じいさんや正直ばあさんは、その典型だと言えるでしょう。
いま世界では、自国中心主義が声高に叫ばれています。
このことわざの精神を国家の関係に当てはめてみると、やはり多くの示唆が得られます。
国家間の「情け」の意義を列挙すれば、
- 国際協力は、将来の危機で助けを得る基盤になる
- 留学生・移民への教育投資は、技術や経済効果として戻る
- 災害時に援助を惜しまなければ、自国に災害が起きたとき応援が集まる
- 尊敬を得た国は孤立しにくい
などでしょう。
相手を助ける力は、めぐりめぐって自らを守る力にもなるのです。
幼稚園の子どもたちにとっては、親切ややさしさはごく当たり前のこと。
その小さな行為が、やがて個人と社会を支える大きな力となる――
そんな未来を願っています。

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