子どもたちはみな根気強いです。ただしスイッチがオンになったものに関しては。

親の視点で見れば、生活面も(小学校に上がれば学業面も含む)すべての項目について常にオンであってほしいと願いますが、現実はその逆です。

これまで私は20年間教育相談を行ってきましたが、そのほとんどの相談内容がこのことに関しているといって過言ではありません。

この問題は、肩の力を抜いて逆の目で見てはどうかを思います。

もし子どもにマイクをもたせて自分の気持ちを訴える機会があれば、と考えますと、親の方が集中力がない、と言われる場面もありえます。

自分の経験を踏まえてふりかえるのですが、たとえば「しりとり」はどうでしょうか。親か子か、どちらが先に「やめよう」と言うのか、ということです(笑)。

キャッチボールや自転車の練習はどうでしょうか。

もちろん意地になって張り合う必要はありませんが、そういった場面を思い出せるなら、「わが子は根気がない」とはゆめ言われませんように。

幼稚園でも先生の「根気」がためされる場面は多々あります。

たとえば、年長女児は競うように縄跳びに挑戦しています。先生が縄を回し子どもが跳びます。

昨日100回跳べるようになった子は、「今日はもっと!」と意気込んで園庭にくりだします。

次の動画をご覧ください。

この日150回跳べました。周りの子は数を数えて待っています(これも忍耐が問われます)。

年長児になると平気で100回以上跳べるので、先生が一人の子と付き合う時間が2,3分かかることも珍しくありません。

この場面は、後半の1分20秒ほどを映していますが、大人はこの映像を見ているだけで時間が惜しくなります(もちろん早送りでごらんいただいて結構です)。

先生は、外遊びで「縄跳びしたい!」と子どもたちに言われてどういう態度をとるでしょうか。

子どもたちの挑戦する心を応援する気持ちがベースにあればこそ、いつも笑顔で縄を回し続けられます。

回し続けるのは肉体的にたいへんだと思いますが、私が見る限り、本園の先生はみな自然な笑顔で縄を回し続けます。

園庭をみわたすと、鉄棒も、雲梯も、おにごっこもおおにぎわいです。

あちこちで子どもたちの頑張る姿を先生たちは全力で(といって大声を出して鼓舞するのでなく、その気持ちを内に秘めながら)応援しています。

もちろん親は様々なことで忙しく、いつも子どものオンに付き合うことはできません。

しかし、この話を理解し共感してくださる方は、時間の長短にかかわらず、「子どものオンを応援できる時間」を今までも大切にしてこられたと思いますし、その時間はこれからもあらゆる場面で訪れるのだと思います。

そしてその時間を親子で共有できるベースの上に、子どもは将来大人になって親の「恩」を深く感じるのです。

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