自然は毎日新しいと思います。

と同時に四季があり、繰り返し・反復性もあります。

子どもたちは季節の変化に敏感です。

あるとき、目に鮮やかな紅葉を見て、思わず年長の子が「懐かしい」と言ったのには驚かされました。

今は夏の終わりであると同時に、秋の始まりなのだと思います。

昼間はセミが大きな声で鳴き、夜になると虫の音が聞こえます。

山の上は人の往来がなく、文字通り風の音が聞こえます。

古今和歌集の次の歌を思い出します。

秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる 藤原敏行

「ふと感じた風の音」に秋の到来を感じる、というわけです。

昨日と同じく、今日も星野道夫さんの言葉を引用します。

無窮の彼方へ流れゆく時を、めぐる季節で確かに感じることができる。自然とは、何と粋な計らいをするのだろうと思う。一年に一度、名残惜しく過ぎゆくものに、この世で何度めぐり会えるのか。その回数を数えるほど、人の一生の短さを知ることはないのかもしれない。(星野道夫)

子どもたちにとって、冬の降雪は一大イベントです。

しかし、自然は年に数回のイベントをつかさどるだけの存在ではありません。

「目にはさやかに見えねども」毎日「風の音を聞かせ」季節の移ろいを告げています。そして、繰り返しますが、子どもたちはその変化を鋭敏にとらえています。

子どもたちは、(そして子どもごころを忘れない大人は)、何も考えずに、自然の中にたたずめばそれでよいのです。

自然は、平凡に見える日常の中に、同じ歩みで循環を続ける季節の鼓動を必ず聞かせてくれるからです。

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