幼児教育の現場に身を置くと、「思い出」という言葉についてあれこれ考えることがあります。

子どもたちと接していると、ふいに半世紀前の自分の幼稚園時代のことを思い出すことがあります。

これはたぶん、子育てをされている保護者も同じ経験をされていると思います。

当時をふりかえって、感謝や感動をもって思い出せることがあるとすれば、同じ経験を目の前の子ども(たち)にも経験してほしい、と思うのは自然なことでしょう。

一方、保護者とお話を交わす中で、自分が幼稚園の子を持つ親であったときの気持ちや思い出も、まざまざと蘇ることもあります。

よく言えば、「相手の身になって考える」ことにつながることなのかもしれませんが、実際にはあれこれ理屈を考えなくても、ふとした表情や言葉から、私たちは一瞬で子どもになったり、幼稚園児をもつ親になったり・・・できるわけで、このような「変身」は、おそらく人間に与えられた特権だろうと考えます。

「過ぎ去った苦しみの思い出は快い」と昔のローマ人は伝えています。

まことに時間は不思議なものであり、できれば味方につけたいものだと思います。

関連記事: