よく「子どもでもわかること」という表現を見聞きします。
バリエーションとして、「幼稚園児でもわかる」等。
私はいつも「あれ?」と思います。
じつは「幼児だからわかること」を大人が忘れていることのほうが実に多いと思うからです。
ピンとくる方もおられるでしょうが、『星の王子さま』はこの点を鋭くついています。
私は子ども時代、この作品のどこがおもしろいのか、わかりませんでした。
「おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)」(『星の王子さま』(サン=テグジュペリ、内藤濯訳、岩波書店)
これは言い得て妙です。
親になることで、人はこのことを思い出すチャンスを得るのでしょう。