短時間に長距離を移動する目的に照らすと、歩くこと、特に歩いて山を登った移動は不便極まりありません。
本園は、小高い山の上にあり、なおかつ車を園舎に横付けできません。
つまり、標高120メートルの園舎に到達するには老若男女問わず、歩いて石段を登る以外選択肢がありません。
不便を逆手にとって、歩いての登園スタイルを採用したのが初代園長の判断でした。
以来75年にわたって、このスタイルを続けています。
人間はこの先ずっと、自分の足で歩くものなのか、また、私たちが眺める「山」を「不便の象徴」とみなし、いつかフラットな平野に変貌させるのか、どうか。
答えは私が生きている間は確かめられないと思いますが、あと100年先の人間は何をどう判断するか、見当がつきません。
ただし、大昔のギリシアの詩人は、「神は幸せの前に汗を置いた」と歌っていますので、3千年そういわれ続けていることは、おそらく今後もそういわれる続けるだろうと信じて、これからも子どもたちと一緒に汗をかいて石段を登りたいと思います。

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