表題のタイトルで、私立幼稚園協会用の原稿ができたのですが、記念にここに載せておきます。
輝く瞬間
卒園式が近づいてきました。入園当初のエピソードが走馬燈のように浮かびます。お母さんと離れがたく、毎朝涙の登園だったあのころ。涙でぐしょぐしょになりながら、初めてお母さんに「行ってきます」ができたあの日。涙声で「先生、ハンカチ取って」と言われ、カバンから出してあげたハンカチで、隣の女の子の涙を拭いてあげた男の子。「泣かんでええで」と声をかけながら(自分も泣いて顔は涙でいっぱいなのに、です)。そんな懐かしい思い出ばかりよみがえります。私は年長児に俳句を教えているのですが、「みんなはね もうすぐみんな 一年生」と俳句を作ってきてくれた子がいます。別の女の子は、「ようちえん さよならするの さみしいな」と。この時期の年長児たちの思いはみな一つなのでしょう。幼稚園は楽しい、でも、いつまでも幼稚園児ではいられない。これは、年長児を持つ母親の思いとも重なって見えます。卒園式までの残りの一日一日を大切に過ごしていきたいと思うこのごろです。
北白川幼稚園園長 山下太郎