保護者会の後半では「子どもは大人の父である」というタイトルでお話をさせていただきました。このタイトルの言葉は、イギリスの詩人ワーズワースのものです。ご参考まで、元の詩は次のようなものです。
My Heart Leaps Up -William Wordsworth
My heart leaps up when I behold
A rainbow in the sky.
So was it when my life began;
So is it now I am a man;
So be it when I grow old,
Or let me die!
The Child is father of the Man;
And I could wish my days to be
Bound each to each by natural piety.
意味はだいたい次の通りです。
わが胸は躍る、空に虹を
見るときに。
子どものときもそうだった。
大人になった今もそうである。
年老いてなおそうであってほしい。
でなければわたしを死なせてほしい。
子どもは大人の父である。
願わくは、わたしの一日、一日が
自然への畏怖によって互いに結ばれますように。
大人になっても子ども時代の純粋な心が失われないことを、詩人は大切なこととして伝えています。
私はこのことをふまえたうえ、この詩のメッセージとは逆に、「大人は子どもの父である」という通俗的な表現を再解釈し、子どもの中に芽生えつつある、そして、大人も大切にしなければならない「本当の大人らしさ」(正義を守る心など)も守らないといけないのではないか、と述べました(現代はこの点があまり強調されていません)。
私たちが子どもの中にある「子どもらしさ」を守るだけで、「大人らしさ」を尊重しなければ、世の中に「自分勝手」が横行するでしょう。両者のバランスが重要です。これはまた、私たち大人の課題でもあります。
ご静聴を心から感謝申し上げます。