「心の風景」という言葉があります。
冒険家の星野道夫さんは、幼い頃の「心の風景」が人生を支える大事な力になることを次のように述べています。
「子どものころに見た風景が、ずっと心の中に残ることがある。いつか大人になり、さまざまな人生の岐路に立った時、人の言葉ではなく、いつか見た風景に励まされたり、勇気を与えられたりすることがきっとある」。~星野道夫『長い旅の途上』
忙しい大人にとっては、「たかが風景」ということかもしれませんが、「されど風景」。
星野さんの言葉を信じるなら、幼稚園は、幼い心に「風景」を刻む大事な時期に当たるということになります。
実際、幼稚園の創設者、ドイツのフレーベルは、自分の創った施設に「キンダー・ガルテン(子どもの庭)」と言う言葉を使いました。
ドイツの庭は、日本人がイメージする庭ではなく、森に近いと思われます。
いずれにせよ、ガルテン(英語のガーデン)が大切だという認識は、日本の幼稚園の設置基準にも引き継がれています(幼稚園は園庭が必ず必要です)。
本園の場合、子どもたちはどの場所を、どの角度から眺めた「風景」を心に刻むのでしょうか。
無限にシャッターを切るチャンスがあるといえます。
都会の風景と異なり、同じ場所を見ていても、自然は色も光も形も常に移ろいます。
幼児期に形成される原風景は思い出と同義です。
「思い出は力になる」のです。
しかし、大人になってから子ども時代の思い出の種まきをすることはできません。
あどけない顔をした子どもたちには無限の未来が開けています。
「三つ子の魂」の子どもたちは、今何を見、何をどう感じて日々過ごしているのでしょうか。