先日の保護者会で、第一園舎横にあった将軍地蔵のことを簡単にご紹介しました。今は造形芸術大学横の禅法寺に安置されているお地蔵様ですが、戦時中は必勝祈願の守り神としてあがめられた経緯もありました。
ただ、禅法寺のご住職にお話を伺ったところ、それは時代の要請でそのように利用されたにすぎず、本来はお地蔵様なので人間世界の敵味方の争いに与する性格をもつものではなく、むしろ、一人ひとりの人間の中に潜む邪気を払う守り神として大切にされた、それが元来の信仰のありかただったのこと。愛宕山、清水寺、そして北白川山の三か所にのみ伝わるお地蔵様、それがこの将軍地蔵だとも。ちなみに明智光秀は愛宕山の将軍地蔵に必勝祈願をしたらしく、その当時でも「勝ち負け」にこだわる人はこのお地蔵様に願掛けをした模様(本来の信仰心の表し方ではないにせよ)。
お堂が老朽化して久しく、といって建て直すことも難しく、今回のように解体撤去の運びとなりましたが、その跡地は園児がのびのび遊べる場所としてお使いください、というのがご住職のお言葉でした。さいわい、跡地にはいつから伝わるかわからぬほど古い野仏が今も子どもたちを見守る場所におられます。本園は宗教的には無宗教の幼稚園ですが、子どもたちを見守るお地蔵さまは、日ごろ園児たちを見守ってくださる地域社会の温かいまなざしの象徴として、今後とも大切にしていきたいと思います。