パラリンピックのロゴに「スリーアギトス」というのがあります。

日本パラリンピック委員会(JPC)によると、

このシンボルマークは「スリーアギトス」と呼ばれています。「アギト」とは、ラテン語で「私は動く」という意味で、困難なことがあってもあきらめずに、限界に挑戦し続けるパラリンピアンを表現しています。赤・青・緑の三色は、世界の国旗で最も多く使用されている色ということで選ばれました。

この説明の中にある、アギトはたしかにラテン語ですが、agito(アギトー)は他動詞で、「私は動かす」を意味します。英語のagitate(アジテート、いわゆるアジるの英語で「かきたてる、激しく動かす」)の語源です。

これをふまえつつ、「アギトス」を「私は動かす」と本来の意味でうけとっても、パラリンピック精神を表現する立派な表現だと思われます。

というのは、ラテン語は目的語を省くことはよくありますので、たとえば、「私は<人の心を>動かす」と解釈することは無理なく可能だからです。<人の前向きな行動を>を目的語にイメージしてもよいでしょう。

さらに、その前提しての「私は動く」も含意していると受け止めます。これはパラリンピックの選手の活動がどういうものかを一般の人が承知しているかぎり、つまり、このロゴマークの言葉はどういう大会のスローガンかを一般の人が理解しているかぎり、そう無理のない解釈だと思われます。

これをふまえると、

「私は動く。私は動かす」

この意味を「アギトス」にこめたのだと主張することは可能だと思います(今からは無理ですが)。

そもそもロゴのマークも抽象的なものですし、言葉の表現についても、今回示した程度の解釈は十分許容範囲だと思われます。

以上パラリンピックの言葉をめぐる雑談でした。

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